■ 北島選手交流会レポ

正味45分だった交流会のレポートを、さて何分で書きあげることができるか（怯）

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当日招待されたのは抽選で当たった54人の子供(小学4年5年6年）とその保護者54人。
定員50人に対し、54人。私の周囲で落選したと言う話も聞かないところを見ると、もしや全員当選だったのかもしれない。

あの北島選手に会いたいという子供が少ないことに驚くも、思えば、交流会が持たれた時間は、レースの予選真っ最中。水泳をやってる子はみんな大会に出てる時間なのだ。故に、競争率が低かったのかもしれない。

さて、約100人の子供、大人が見守る中、コカコーラのジャージを着た北島選手登場。
もっと大きくて、ごっついのかと思ってたけど、洋服のせいか、意外と細身に思えた。
しかもウエストのあたりは見事にキュッとくびれてるし。（裏を返せば肩幅がすごいってことなんだろうけど）

とにかく、テレビで見てる雲の上の人が目の前に居るという事実をなかなか受け入れられず、「すっごい似てる！」「本物みたい」とついついバッタモン思考に傾いていく脳味噌を、無理やり「本人だから！」とキャリブレーション。

司会の人の紹介の後、スライドを見ながらオリンピックを漠然と夢見た北島少年が、金メダルを獲得するまでの話を聞いた。

けど、

北島選手、スライドの前に仁王立ち！

写真が全然見えないぜよ（笑）
だけど誰もツッコめない。
私自身は、どの写真も見覚えのあるものばかりなので、いいやーーーって感じだったけど、唯一、カルフォルニア大学での仲間たちのスライド中のウサマ・メルリ選手が見えなかったときだけは、
「どいてーーーー！」
って叫びたかった。

子供のころの生い立ちから今までを振り返り、北島選手が語ったことは、

〇　夢を持つことが大事
〇　夢を実現させるためには小さな目標を作って、一つ一つ階段をのぼっていく。
〇　小さな目標のクリアは遅くたっていい。ゆっくり階段を登ればいい。
〇　夢（は好きなことだから）、好きなことを少しずつ頑張っていくのがいい
〇　夢の実現には「憧れの存在が必要」（北島選手の場合、平泳ぎの林亨選手）
〇　夢は変わることがあってもいい。
〇　大きな夢を実現しても、そこで終わりではない。夢を実現すると、次の夢が生れる。
〇　仲間をたくさん作ることは大事

中でも選手が何度も繰り返していたのが、小さな目標を一つずつクリアしていく先に夢があるということ、そして憧れの人の大切さ。

憧れの人とのエピソードで語ってくれた話は、2000年シドニーオリンピック選考レースでのこと。
当時、選手としてのピークを過ぎていた林選手は、なかなか自己ベストを出すことができずにいて、そして迎えた選考レースで北島選手に敗れ、2位になった。しかしレースで出した記録は林選手の自己新記録だったのだという。
北島選手は憧れの選手に勝てたことも嬉しかったが、憧れの人が自分をライバルとして意識し、なかなか出せてなかったベストタイムを出したということが嬉しかったのだと言う。

雲の上の存在だった人のステージに自分が立てた喜び、憧れの人をがむしゃらに追いかける日々だったんだろうなぁと思う。

さて、スライドが終わり、質問タイム。
質問の順番は多少入れ替えてあります。

〇平泳ぎのコツを教えてください
　平泳ぎはとても難しい泳ぎ。
　好きにならないとなかなかうまくならない。
　まずは脚の蹴りが大事。
　そして壁をしっかりと蹴る。
　あと、水中姿勢も大事

〇平泳ぎ以外の得意種目はなんですか？
　全部得意。
　個人メドレーの日本記録だって持っていたことがある（短水路での1個メ2個メのこと）

〇何を食べたら強くなれますか？
　昨日の記事を参照→こちら

〇メンタルトレーニングはしてますか（プロテニス選手になりたいという子からの質問）
　してない。
　なぜかと言うと、メンタルトレーニングを僕は信じていないから（っていうと、誤解を招いちゃうね、って苦笑してました。「信じてない」というより、「自分のスタイルに合ってない」という意味と解釈）
　メンタルトレーニングの先生につくと、レースで負けたときに先生のせいにしてしまうから。
　僕は自分の力で強くなろうとしてるし、負けることも大事だと思ってる。
　負けたときの悔しさがわかることも大切。


子供にわかる言葉、自分の言葉で語る北島選手の話はとても説得力があり、子供たちも親たちも、その場にいた全員、彼の言葉一つ一つをかみしめるようにして聞いていたのだと思う。
そして、子供の傍に寄り添うように話す北島選手だが、しかし、「優しいアニキ」と言うだけではない一面も見せる。


〇剣道をやってます。剣道をやってると勉強ができません。どうしたらいいですか？
「うーん、それはね、やろうとしないからだよ。両立ができないと思ってるから、できない。練習が忙しいから勉強ができないって言い訳を作らない。
　僕は子供の時8時まで泳いで、9時から11時まで塾に行ってたよ」

この9時から11時まで塾に会場がどよめく。
鉄人は子供のころから鉄人だったんだ！


〇練習を休むと泳ぐのが遅くなるんじゃないかと不安です

この質問に、北島選手、
「えっと、それは、休んでると速くなれますか？って質問？」
と即座に返した。困ったように返事をしあぐねる質問者に、
「僕は毎日泳いでた」
ときっぱり。不安だと思うんだったら、毎日練習しなさいと暗に言ってるのだろう。厳しい。

ただ、厳しいばかりで放ってはおかない。

「僕らの歳になると、休むことも大事になるんだけどね。それは、僕らは練習で７０％、８０％、９０％の力を出し切ることができるから。それに、君たちみたいに回復も早くないしね。でも、君たちみたいな子供は、練習でも３０％位の力しか出せてないし、回復も早い。だから毎日練習したほうがいいと思うな。
　でもね、体調が万全でないときは、きっちり練習を休んで、身体を治してから練習することが大事」

なぜ毎日練習する必要があるのかってのをわかりやすく説明された。
必要に応じては休むことも大事なことも。無理はダメだよって。


質問タイムも後半になってくると、面白いのが飛び出してきた。

〇趣味はなんですか
「趣味・・・趣味ねぇ・・・・あんまりないけど、今はドライブかな？・・・ってあんまり普通すぎて不満？」
（会場に笑い）
「じゃ、聞くけど、君の趣味は何？」
「囲碁です」
「囲碁・・・・・！（絶句）　すごいなぁ、オレ、囲碁やったことないよ」


〇好きな色はなんですか？
「色・・・この服（コカコーラのジャージ）着てて、"緑”って言ったら変だよね」
（会場に笑い）
「単色系が好きかな？　赤とか青とか。　君は何色が好き？」
「緑です」
「じゃ、最初、僕が緑って言った時、ドキッてしたでしょーーー」
（またも笑い）

〇最近は何を食べてますか？
「最近は・・・・和食かなぁ」

〇小学校の頃はどのくらい泳いでましたか？
「あの頃は一日一回の練習だったから、５０００ｍくらいかな」

〇潜水はどのくらいできますか
「うーん、７５ｍくらいかなぁ。こんどやってみるよ」

〇生まれ変わったら、なにになりたいですか？
「うーーーーーーーん(長考）　女の人かなぁ。ごめん、考えたこと無いや。君は何になりたいの？」
「カメ」
「えっなんで？」
（この間やり取りがあったんだけど、私の席まで聞こえなかった）
「保護者の方、お子さんはカメになりたいんだそうです」
（会場笑い）

終わりの時間も迫ってくると、また、レースがらみの質問が

〇緊張したときはどうしてますか？
「緊張はね、緊張を楽しむんだよ。
緊張には二種類あって、楽しくてワクワクするような緊張と、我を忘れて逃げ出したいようなネガティブな緊張があるよね。楽しくない緊張をしないために、僕は練習をしている。練習でやり残したことが無ければ、緊張を楽しむことができるよ」

ここで、時間が来て、司会の方が会を締めようとすると、北島選手が、
「いいんですか？保護者の方からは質問はないんですか？」
と、嬉しい一言！
司会の方の、「じゃお一方だけ・・・」の言葉にに私は反射的に手をあげてしまった。


キックはどうすれば速くできますか？とか、メルリ選手はどんなキャラですか？とか、聞いてみたかったけど、ここは普通に、

〇ご両親の尊敬してる部分や、教えなどを聞かせてください

と至極普通人らしい質問を。
でも、正面で北島選手と話をしてるというだけで、ドキドキ。

私の質問に大変丁寧に答えてくださり、

「父親はとてもたくましい人、肉屋と言うこともあるけど、力強い人。そういう部分を受け継いだと思う。　母親はとても我慢強い人で、物事をポジティブに考える。両親は水泳をしたことがないけれど、そういった部分を自分は受け継ぎ、今の自分なのだのだと思うし、そして両親をとても尊敬してます」

最後は子供たちと北島選手が記念写真を撮影し、一人ひとりとタッチをして、会場を後にした。息子に聞いたら、北島選手の手は大きくてあったかかったと言う。
私が「触らせてよ！」と息子の手を触ろうとすると、二人とも、「ヤダヤダ！」と手を隠すほど。

ちぇ、いいなぁ。





それにしても・・・

若干28歳だと言うのに、あの立派な感じはなんだろう。
自分の28歳のころを思うと、幼いと言うか、人間として全く未熟で（今もだけど）泣けてくる。

世界の舞台で活躍する人というのは、技術的に優れているけど、人間的にも魅力あふれる人なんだろうなと実感した。

以上レポート終了。
北島選手の言葉は、記憶だけで書いてるので、詳細の部分が違ってるのはご了承ください。

45分の交流会のレポが予想通りの90分。
ご苦労様でした＞自分
コメントの返事は明日と言うことでお許しを<(_ _)>