おんじゅん道 読書:風が強く吹いている 忍者ブログ
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風が強く吹いている

無名の大学陸上部がたった10人の部員で箱根駅伝を目指すというお話。

スポ根小説は大好物で、読みながら「これは小説としてどうなんだろう・・・」と疑問に思ってしまうような作品でも、結局最後は「あぁ、面白かった」と終わることが多い。どんな悩みや逆境にぶつかっても、そのスポーツに打ち込んでいけば・・・みたいなストーリーは説得力は全くないのに、それでも「わかるわかる」といれこめるのは、多分自分もスポーツ好きだから?

そんな私でもこの話はあまりに荒唐無稽で投げ出しそうになった。




格安の寮(竹青荘)に住む寛政大学の学生9人。ここに天才ランナー蔵原走(カケル)がやってくるところから物語が始まる。天才ランナーと出会ったことに運命を感じた(と思う)清瀬灰二(ハイジ)は寮に住む学生に、
「10人になったことだし、このメンバーで箱根を目指す」
と堂々の宣言。残りの9人はそれぞれの立場で反対するも、最後はハイジの強引さに押しきられてしぶしぶ参加することに・・・

たった10人の陸上部、それも素人の寄せ集め。それが箱根に??
「無理だよ、箱根はそんなに甘くない」
読者の気分はまさにカケルと同じ。


箱根を目指すと言い始めたあたりから最初の記録会までは、読んでる私が白けちゃって、本気で本を投げ出しそうになった。

”弱小チームが練習に練習を重ねて、目標の大会、記録を目指す”ってのはスポ根の王道だが、それにしたって、これはあんまりにも都合良すぎじゃないだろうか・・・。そう思わせたのは、渋々参加してたはずのメンバーのモチベーションが、私のよくわからないところで勝手に上がってしまっていた、そのきっかけがどうにも納得できなかったからかもしれない。

とはいえ、その部分を「そうか、それはハイジさんの人徳なんだね」の一言で飲みこんでしまうと(というか飲みこまざるを得ない)、後の展開は急に面白くなる。

メンバー10人全員のドラマを描くことを捨て、カケルとハイジに物語の焦点を絞り切ってしまったあたりから、この話は急に説得力を持ってせまりだす。ランナーとしては成熟しているカケルの精神的成長はこの話の最大の見どころ。

駅伝のシーンはそれぞれの区をていねいに描いている。それまであまり触れてこられなかった残り8人についても走ることを通じて彼らが変わっていった様子が面白い。全員が全員の立場で”何のために走るのか、走った先に何があるのか”を追い求めている。

で、結局今回も「あぁ、面白かった」で読み終えた。うん、でもこれは「スポーツマジック無し」に読んでも面白かったなぁと思える作品。
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